広がっていく先端医療

先端医療の課題①:デバイスラグ

最近では、日本の医療界においても、続々と先端医療が導入されています。
ただ導入されているのみならず、実施例も増えつつあるのです。
しかし、本格的に先端医療を導入するためには、まだまだ課題がたくさんあります。
今回は、そんな先端医療を取り巻く課題について、紹介したいと思います。
まずは「デバイスラグ」です。

デバイスラグというのは、技術や機器における遅れのことを言います。
最新の医療機器や先端医療は、まずアメリカやヨーロッパで導入を開始します。
日本国内にその医療機器や先端医療が導入されるのは、そのあとなのです。
その原因として考えられるのが、審査の遅れです。
最新の機器などを使用するためには、日本国内で審査をしなければならないのですが、その審査が日本はとても長くかかります。

しかも、最近はその審査にさらに長い期間がかかるようになり、デバイスラグも広がっています。
アメリカやヨーロッパと比べて、3年から5年程度のデバイスラグが認められているのです。
このデバイスラグを解消するには、審査の進捗状況などの明確化が求められます。

先端医療の課題②:デバイスギャップ

次に「デバイスギャップ」です。
前述のデバイスラグの場合は、3年から5年の遅れはありますが、日本にも導入されています。
それに対して、このデバイスギャップの場合は、最新の医療機器や先端医療が、結果的に日本には導入されないのです。
この原因として考えられるのが、費用対効果の問題になります。

例えば、日本国内における市場規模の小さい医療機器、国内ではあまり症例のない病気用の医療機器や、子供用の医療機器の場合は、国内における市場規模が小さいため、審査までにかかる費用を回収できるか否かが不透明です。
そのため、なかなか導入に至りません。
このデバイスギャップを解消するには、保険償還制度の中でも、医療機器の革新性を踏まえて評価を適切にすることが求められます。

先端医療の課題③:外国参照価格制度

次に挙げられるのが「外国参照価格制度」です。
これは何かというと、医療機器の国外と日本国内における価格差が、今から20年ほど前には問題となっておりました。
その価格差を縮小するために、アメリカやヨーロッパなどの4カ国の価格と連動をして、日本の保険償還価格を決定しています。
実は現在では、この価格差というのはかなり縮小しています。
国内価格のほうが安いケースもあるくらいです。

これは海外と連動した価格のため、医療品のコスト構造とは無関係な要素が入り込みやすいです。
例えば、為替の変動などになります。
これによって、国内の医療関係メーカーは、経営が不安定になりかねません。
外国参照価格制度は、すでに必要ないため、廃止をすることが望まれます。
また、医療機器や先端医療の革新性が正しく評価されていないということもあります。

革新性をどう評価するかというのは、保険償還の価格に反映されているのです。
現状としては、それが正しく評価されているとは思えません。
今後は、革新性を正当に評価することが求められます。

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