言語聴覚士の仕事
言語聴覚士は言語と聴覚、つまり話す、聞くこと、そして食べる機能に関するエキスパートで、これらの機能のリハビリテーションに従事します。
言語聴覚士は英語でSpeech-Language-Hearing Therapistというため、医療現場などではこれを略してSTと呼んでいるところも多くあります。
脳卒中や言語障がい、聴覚障がいなどで人が話している内容が理解できない、字が読めない、声が出せない、食べ物を噛んだり飲み込んだりできないといった状態にいる人は決して珍しくありません。
言語聴覚士は、このような人に対して検査を行い、一人一人に合わせた訓練を行って機能回復などに務めます。
検査や訓練は医療機関、介護・福祉施設、教育機関や行政機関といった関係機関が連携しながら行われるため、言語聴覚士はこのようなチームの一員として専門知識を生かした活躍をしています。
言語聴覚士になるには?
言語聴覚士は法律で定められた、国家資格です。
言語聴覚士になるためには、政府が指定した言語聴覚士の養成施設である大学や短大、専門学校で学び、必要な知識と技術をみにつけたうえで国家試験に合格する必要があります。
言語聴覚士国家試験
言語聴覚士国家試験は毎年1度、2月下旬頃に行われます。
合格率は68.9%となっており、半数以上の人が合格しています。
やや難易度は高いものの、学校での勉強をきちんとマスターしていれば、国家試験合格のハードルはそれほど高いとはいえません。
言語聴覚士の就職先
言語聴覚士の就職先で最も多いのは、病院などの医療機関です。
病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科、小児科、形成外科、口腔外科で患者さんのリハビリテーションなどを行います。
また、最近では介護分野からの求人も増えてきました。
老人保健施設や特別養護老人ホームに就職して、高齢者の言語障がい、嚥下障がいなどに対応しています。
現在、言語聴覚士は全国に約2万にいまずか、高齢化に伴い、治療やケアが必要な患者が増えているため、まだまだ言語聴覚士の数は不足しているのが現状です。
今後も高齢化が進むため、さらに言語聴覚士の需要が高まりますから、将来性の高い職業として期待されています。
医療、介護分野だけにとどまらず、福祉分野や教育分野からも言語聴覚士の専門知識が求められていますので、幅広いフィールドで活躍できます。
言語聴覚士に向いている人は?
言語聴覚士はリハビリテーション職の一つです。
リハビリテーションは、医療、介護、福祉などさまざまな分野の人たちと協力しながら行う必要があります。
このため、専門知識に加えて、チーム医療が円滑に行えるようみんなと協力する協調力、患者さんやそのご家族ときちんと意思疎通ができるコミュニケーション力、患者さんに少しでも楽になってもらいたいという献身的な情熱などが求められます。
したがって言語聴覚士に向いている人は、誰とでも仲良くなれる人、人の痛みやつらさに共感できる人、困っている人の役に立ちたいと願っている人だといえます。